第95回 薬剤師国家試験情報

薬剤師国家試験総評

昨年(94回)と比較して難易度の低い問題が多く出題されました。メディセレでも自己採点で、200点を超える学生が続出しており、今年は昨年よりも平均点が高いことが予測されます。特に基礎科学系では過去問題を基本とした出題が多く、この分野を得点源にできた学生は高得点が狙えました。2009年から2010年にかけて話題となったインフルエンザに関する問題が有機化学と微生物の分野で出題されました。微生物でインフルエンザが出題されるのは2年連続です。また興味深いのは、メタボリックシンドロームが初めて衛生薬学の分野で出題されたことでしょう。予防医学的な視点からの問題で医療との科目の壁がなくなりつつあります。

 

科目 総評 出題数 予想
平均点
過去問
再出題
難易度
★  :低
★★ :中
★★★:高
1日目 午前  基礎薬学
有機化学 全体的な難易度は低〜中程度。過去問題を解く知識があれば解答を出せるものが多かった。また、例年通り他科目との関連問題が2題出題され、リン脂質や糖質など生化学の知識が必要なものであった。 15 8 3
物理化学 今回は難易度の高い問題と低い問題がはっきり分かれていたように思われる。また、6年制の国家試験を意識した内容と思われる問題が増加傾向にある。難易度の高い問題もあるが、過去問を解き込んで基礎学力を身につけていれば、8問中4問以上は得点できたと思われる。今後の対策として、基礎学力の強化が必要であると思われる。類似問題:問17(92-17)、問18(85-20)、問19(90-19) 8 5 0 ★★
分析化学 問題数は11題あり、前年度と比べ1題増えている。過去問題の知識があれば解答を導けるものが多く、難化していた昨年度に比べ容易に解答を導けるものが多かった。 11 7 2
放射化学 基礎薬学で1題、衛生薬学で1題、医療薬学IIで1題の計3題出題された。過去問レベルの内容であり、過去問題の知識があれば容易に正解に到達できた。衛生薬学(問90)では放射線障害のグラフが新規出題された。 3 2 1
生薬学 3題共に、過去問題レベルの基礎的な問題が中心であり、過去問題の知識があれば解答に導けるものであった。 3 2 1
生化学
分子生物学
遺伝子の問題が5題と多く、特に転写から2題と出題に偏りがみられた。テーラーメード医療に向けて今後もこの傾向は変わらないと思われる。また栄養素の構造の問題は、有機化学(2題)と衛生薬学(1題)の中へ織り込まれる傾向にある。ほか新記述もみられたが、過去問を理解していれば解ける内容であり、難易度は適度であったと思われる。 9 5 2 ★★
機能形態学 難易度は例年通りであるが、中にはマニアックな内容を問う(問51)問題があった。 7 5 1 ★★
免疫学
微生物学
過去問題の再出題はないが、難易度は中程度である。2009年〜2010年に話題となったインフルエンザウイルスに関する問題が出題されている。免疫学は、「感染症」など医療への繋がりを意識した問題が増加しており、出題数が増加している。94回、95回ともイムノアッセイに関する問題が無かった。 6 4 0 ★★
1日目 午後  衛生薬学・薬事法規
衛生薬学 難易度は「やや高い」。過去問再出題は6題で例年よりは少なく、構造式の問題が6題と多い。食品中の残留農薬、メタボリックシンドローム、乱用薬毒物などのカレントトピックスも多く出題されていた。基礎的事項の理解に加え、思考力、応用力を意識した学習が今後は必要である。 40
(放射
1題
含む)
27 6 ★★★
薬事法規 難易度は「やや高い」。昨年度が過去問を中心とした出題であったため、今年度は新しい法律や制度の内容(医薬品の販売業、登録販売者など)の出題に加え、大麻など近年話題となった事象の問題が目立つ。また、文章表現が難しく感じる問題が見られたため、今後は知識の充実に加え、文章読解力の向上が要求される。 20 13 0 ★★★
2日目 午前 医療薬学 I
薬理学 基本的には過去問に準じた問題がほとんどである。新規薬物も出題されていたが、選択肢での対応が十分可能である。最近の傾向通り中枢疾患や循環器系疾患や代謝系疾患に関する出題が多く難易度も例年通りであった。 30 23 3 ★★
薬物動態学 ADMEの範囲は、細かい定義に関する問題が増えている。毎回の傾向と少し違う印象を受けた。細かい内容まで問われている問題もあるが、過去問レベルの内容を確実に解答すれば得点できたと思われる。計算やグラフに関する問題が5題程度出題されている。難易度も基本的な問題であり、グラフの問題も基本的な内容が理解できていれば解答できたと思われる。毎回出題されているTDMが出題されていなかった。6年制を意識した新傾向問題が多数出題され、前回より増加傾向にある。また、製剤学を絡めた問題も増加傾向にある。類似問題:問160(89-161)、問161(73-100) 15 9 1 ★★
物理薬剤学 94回に比べ全体的に難易度の低い問題が多く出題されている。基本的な事項や定義を理解すれば得点できたと思われる。難易度の低い問題、過去問の再出題問題を習得し着実に得点につなげていく必要がある。類似問題:問167(91-22)、問168(88-167)、問169(86-168) 6 4 0
製剤学 94回は難易度が高かったが、今回は例年に戻った。過去問を確実に解きこなせば、高得点も期待できる。今後、新傾向問題も予想されるのが、過去問の内容の理解と確実な知識の習得が重要である。 9 7 1
2日目 午後 医療薬学 II
病態生理
薬物治療
難易度は例年通りである。第94回以降悪性腫瘍に関する問題、症例問題の出題が減少している。今年は悪性腫瘍1題、症例3題であった。6年制教育を鑑みるともう少し出題すべきである。過去問題の再出題が4題(94回は2題)あり、例年と比較して多い。ただし、再出題された過去問題がやや古く、受験生にとってやさしい問題であった。過去問題の内容が理解できていれば、8割は得点可能である。 30 23 4 ★★
病院実務 数問、難しいものもあったが、概ねオーソドックスな問題であった。薬学部6年制遷移に伴い現場を意識させる内容(医薬品の商品名、毒薬・劇薬の判別等)や新しい内容(ジェネリック)が出題されていた。今後も現場の動向は把握しておくべきである。 25 20 0
総合問題 例年と比較して易しい問題であった。形式は症例形式であるが、内容は過去の内容を問うものであったため、正解率は高いことが予想される。例年は、薬剤学、病態生理、実務の知識を幅広く問うものであるが、今年は実務系の知識のみを問う問題であった。 3 2 0
予想平均点:166点

 

資料提供:メディセレ